資源の乏しい国・日本において、山林はかけがえのない財産です。山は、多様性に満ちた生きものの宝庫であり、ミネラル豊富な湧き水を海に送り込む源であり、日本人の心のよりどころでもありました。さらに山から伐り下ろされた木は、建築材や家具や生活道具や燃料となって、何千年も私たちの暮らしを支えてくれていたのです。しかしいつしかその循環が断ち切られ、私たちは暮らしに必要なエネルギーや建築材を、遠い国から高いコストで買うことに疑問を抱かなくなっています。「林業では食えない」と言われてきた時代は、そんな断絶の象徴ではないでしょうか。
でも私たちは、今改めて伝えたいのです。きちんと守り育てれば、これからも尽きることがない山林の恵みのすばらしさと、それを地域に循環させることができる「林業」の可能性を。近隣の山で育った国産材の家に暮らす心地よさ。エネルギーを地産地消できる安心感。私たちは、そんな豊かな巡りのかたちの再構築をめざす林業会社です。
山田林業が、姫路市有林より伐採搬出した杉を使用したJR姫路駅のウッドデッキ。
世界遺産・姫路城につながる「大手前通り」とその起点である駅前広場周辺の公共スペースをデザインする
市民参加型プロジェクトの一環で制作されました(同プロジェクトは2015年グッドデザイン賞受賞)。
日本の山林の大半を占める人工林では、適切に人が木を伐り、スムーズな植生サイクルを助けることが重要です。
長伐期とは、50~100年以上かけて価値の高い木を育てること。
そして多間伐とは、頻繁に木を間引きながら日照を確保して林床を豊かにし、木がより大きく育つ環境を整えること。
私たちは長い目で、収益性の高い山を育てます。
地面まで日照が届き、林床植物が豊かに茂っています。
日照が遮られ鬱蒼として、木は細く林床は乏しくなっています。
林野庁の資料『森林の現状と課題』の4ページ目、「適切に管理された人工林のイメージ」として弊社の山林が掲載されています。
林野庁『森林の現状と課題』
健やかな山林に必要なのは「多様性」。杉やヒノキなどの成長を促す「良い土」に欠かせない腐植土を豊かにするため、私たちは落葉広葉樹を積極的に残し、林床植物をしっかり繁殖させます。この混交複相林は、ゲリラ豪雨などによる土砂災害のリスクを抑えるだけでなく、降り注ぐ雨をろ過して、ミネラル豊富な澄んだ水を山のふもとや海にもたらします。
林業機械が山に入る上で欠かせない作業路。山田林業は、大阪府指導林家・大橋慶三郎氏から作業路づくりの直接指導を受けており、とくに30年以上長期間に渡って使用する作業路には、木組みを用いた堅牢な「大橋式」を採用。地形や土壌、水脈を的確に読んだ路線設計で、作業路そのものが土砂災害リスクを防ぐ補強網となるよう考慮しています。